株式会社しめしめ

日記や、経済時事ネタの評価をしています。

9月26日の勉強会について

 9月27日に開催された将棋の王座戦で藤井7冠が2勝目をあげ、前人未到の8冠に王手となったそうです。凄すぎます。その反面、今日の東京株式市場では500円近く下げ、長期金利も0.75%まで上昇し、不安定な経済状況です。香港証券取引所では、中国恒大と傘下2社の株式取引を停止したそうで、中国経済も不安定な状況が続きます。 一月半前に我が家に来た犬も未だトイレを覚えず、不安定な状況が続き、心が折れそうです。

 

 8月26日は女性2人が参加した勉強会を、開催しました。今回は円安傾向が続きそうだとか住宅ローンが上がりそうだというような、これまでのおさらいのような感じで、和気あいあいとしたものになりました。新NISAが資産形成に有効だが下がる株を買ってしまうと意味がない、というような話もしました。

 

 今回の勉強会で、日本の状況は大きく変わっているのに実感がなく、物価上昇以外の変化に気付いていないという点が気になりました。2022年1月の円相場は114円/$位でしたが、今日は149円/$です。25%近くの下落です。2021年1月は103円/$だったので、3年弱で30%ほど円安が進みました。エネルギーや食糧を輸入に頼る日本で大変な影響が出ることは、皆が実感しているところです。

 観光以外の分野では、景気はパッとしません。ゼロゼロ融資の返済が始まり、企業の倒産件数も増えています。しかし、人手不足は解消しないという不思議な状況です。多分、給料(時給)を上げられないためなかなか人を採用できないようです。その現認は、起業の利益率の低さでしょう。いわゆるゾンビ企業です。利益率の高い産業は見当たらないので、しばらく厳しい状況は続きそうです。

 

 勉強会やブログで、アンテナをたてて変化を捉えて「しめしめ」しようと情報発信してきましたが、なかなか難しいものだと思いました。

 

 日本の現状を、池上彰さんが記事にしていました。分かりやすかったので、いつものように抜粋します。ポイントだけの抜粋なので、文章は繋がりません。なるべく原典をご確認ください。

NYでは1泊7万円超が常識…「株高で景気は上向き」のはずなのに日本人が貧しくなっている根本原因(プレジデントオンライン) - Yahoo!ニュース

 中間選挙を取材する中で、身にしみて感じたのが物価の高さです。かねてから進んでいた円安がピークに達しており、1ドルは約150円。ニューヨークで人気のラーメン店で食事をしたら、豚骨ラーメン(2400円)と餃子(1800円)で4200円になりました。これにチップ(840円)を加え、5000円以上の出費です。

 日本のUber Eatsもそうですが、チップは選択式です。以前は10・15・18%から選ぶ形でしたが、今回は18・20・25%が選択肢でした。人件費も上がっているのですね。ニューヨークでは飲食店員の時給は20ドル程度が普通。日本の約3倍です。それでも人が集まらないそうです。

 とはいえニューヨークの治安は悪く、殺人事件は日常茶飯事です。バイデン大統領・民主党支持者の多い都市部は給料が上がっていますが、トランプ前大統領・共和党支持者の多い地域では、上がるのは物価だけ。給料が上がっていないと聞きました。地域による分断が進んでいます。

 日本経済が振るわない現状は数字の面でも明らかです。先進国が加盟するOECD(経済協力開発機構)のデータによると、2021年の平均賃金はOECD34カ国のうち24位(ドル換算)。1991年には23カ国中13位でしたが、2013年には韓国に抜かれてしまいました。2011年には東日本大震災に見舞われましたが、それ以前から年々順位を下げています。

 平均賃金は過去30年あまり、ほとんど増えていません。1990年に3万6879ドルでしたが、30年後の2021年になっても3000ドルほど増えただけです。

 こうした事実をもって「もはや先進国ではない」と言い放つ声さえ聞かれます。日本が世界第3位の経済大国であるのは確かですが、国民の暮らしぶりを基準にすれば、かつてのように豊かとは言えないのが現実かもしれません。

 一本目の矢「大胆な金融政策」を行なうため、まずは日本銀行の総裁を黒田東彦に代えました。それ以前の白川方明(まさあき)総裁は日銀出身だったため、大胆な金融政策ができないとみなし、財務省出身で、アジア開発銀行総裁の経験もある黒田東彦を総裁に据えたのです。

 黒田日銀総裁お札をどんどん刷って金融機関が保有する国債を大量に買い上げ、現金を大量に市場に供給するという「金融緩和」を行ないました。こうして市場に流れ込んだお金が、株式投資に向かい、株価が上がっていく。そう期待され、実際に株高を生み出すことに成功しました。

 現金がふんだんにある状態を国外から見ると、ドルの量は変わっていないのに、日本円が世の中にふんだんに出回ることになり、円の価値が下がります。つまり円安になります。円安になると輸出産業が活発になります。

 第二の矢である「機動的な財政政策」は、いわゆるバラマキです。民主党政権時代、「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズのもとで公共事業は抑えられていました。これを復活させて地方経済を活性化し、デフレ脱却を狙いました。

 アベノミクスによって世の中に供給されたお金は、株や土地への投資へと向かい、株価や土地の価格の上昇をもたらしました。株価が上がり、お金持ちがお金を使うようになると社会全体が活気づきます。公共事業によって地方の経済も活性化されました。コロナ禍前までは多くの雇用も生み出したのは事実です。第一の矢、第二の矢はひとまず成果を上げたと言えそうです。しかし、アベノミクスの副作用も明らかになっています。

 公共事業を増やしたことで国の借金が増えています。つまり、国債の発行が増えているのです。

 国にとっては利子を払わず借金ができる良い状態ですが、将来、金利が上がると日銀が過去に買っていた低金利国債の価値が下がり損失を出します。本来、日銀は国債を銀行から買うことで利益を得て、政府に納付します。しかし今後は日銀の債務超過が懸念されます。民間の銀行と違って破綻しないという意見もありますが、日銀が信頼を失えば、日本円そのものの価値に影響が出る恐れがあります。

 国債を扱うのは主に金融機関ですが、その価格や長期金利は私たち国民にも大きな影響を及ぼします。長期金利は住宅ローンなどの金利の基準になっているからです。国債の価格と長期金利はシーソーのような関係にあり、国債の価格が下がると、長期金利が上がります。

 そこで日銀は、満期の長い長期国債も買って長期金利が上がらないように必死になっています

 アベノミクスが狙った円安も、大きなデメリットをもたらしています。輸出には有利にはたらきますが、石油・天然ガスなどエネルギーの多くを輸入に頼る日本には逆風となっています。特にロシアのウクライナ侵攻以降、エネルギーや原材料費の値上がりによって、あらゆるモノの価格が急上昇しています。

 円安を止めるには金利を上げればいい。しかし金利を上げれば景気が悪くなってしまう。このジレンマからどう脱出すればいいのか、政府と植田日銀総裁の舵取りが問われています。

 

 上記の記事は分かりやすく解説していますが、知識を小出しにしてきた感もあり、もっと早くこのような記事を書いて欲しかったと思います。

 上記記事に1点だけ補足すると、バラまかれたお金がどこに行ったのかは解説されていません。株や土地に流れたとしか書かれていないので分かりにくいですが、一部の企業や富裕層に流れたのです。

 9月5日の「現状を冷静に確認しましょう」で、以下のように書きました。

 

 国の借金は増えましたが、どこに行ったのでしょうか?

 家計の金融資産が2000兆円を超えたり、大企業の過去最高益を支える原資になっています。でも、国民の所得格差は、広がる一方です。国が借金して政治がバラまいたけれど、富は一部の人・企業に偏って蓄積していったのです。

 

 お金の流れのちょっとした変化を捉え、今こそ「しめしめ」を目指しましょう!

 今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。