旧統一教会の解散命令を検討し始めたり、沖縄県辺野古基地埋め立て承認をめぐる高裁判決が出たり、世の中では色々な事が進行しています。ウクライナ戦争は依然として集結しませんし、大阪万博は盛り上がりどころか開催が危ぶまれ始めています。円安も順調に進み、ブログを書いている時点で1ドル=146円後半となっています。エネルギー価格や消費者物価に厳しい状況は、変わっていません。
前回のブログで変化の度合いが問題となってきたと書きましたが、今後、どのような変化がどの程度予想されるのか、歴史を振り返ってみたいと思います。
まず最初に、日本がなぜ莫大な国債を抱え込むようになったのか、確認します。2023年1月25日の記事景気停滞の根本原因で、「アメリカの要望(日米構造協議)に基づき日本は1990年から10年間で630兆円の公共投資を実施しました。全国でハコモノと言われる公共設備や道路などを作りまくった結果、巨額の財政赤字を抱えることになりました」と書きました。2000年代に入ってからも財政政策頼みから脱却できず、財務省の資料で2023年度末の普通国債残高は1068兆円になると見込まれています。このため、矢野康治財務事務次官は文芸春秋2021年11月号に「財務次官、モノ申す 『このままでは国家財政は破綻する』」を寄稿し、大問題になりました。ネット記事がほとんどヒットしないので、まだ掲載されている分のリンクを貼っておきます。
矢野康治・財務次官「論文」、誰も指摘しない“あまりにもヤバい”問題の本質 | エディターズ・チョイス | ダイヤモンド・オンライン
「このままでは国家財政は破綻する」財務次官による"異例の寄稿"本当の狙い 背景に"経産省と財務省の戦い" | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
国の借金は増えましたが、どこに行ったのでしょうか?
家計の金融資産が2000兆円を超えたり、大企業の過去最高益を支える原資になっています。でも、国民の所得格差は、広がる一方です。国が借金して政治がバラまいたけれど、富は一部の人・企業に偏って蓄積していったのです。
2008年のリーマンショックで6000憶ドル(64兆円)もの投機マネーが蒸発しましたが、中国の景気刺激策4兆元(約57兆円)にのぼる景気刺激策で、世界経済は安定を取り戻しました。
中国はその投資効果により世界中にインフラを整備し、経済的な影響を及ぼしました。中国国内では不動産開発が進み、バブルを形成、最近になって弾けたと目されています。中国恒大集団の経営破綻では負債総額が2兆3882億元(約48兆円)の負債総額、中国碧桂園の負債総額も1兆3641億元(約27兆円)あると推定されています。もし、中国の不動産バブルが弾けた影響でハードランディングした場合、その負債総額からリーマンショック越えの影響は避けられないでしょう。
さて日本ですが、2012年にアベノミクスの3本の矢の一つで、大変な額の財政支出を行っています。黒田バズーカと言われたもので、今日でも続いています。その結果、日銀は600兆円もの日本国債を保有するに至りました。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も日本国債や株式を大量購入するよう運用を変更し、日本国が最大株主である上場企業を多く生み出しました。
ここで重要なポイントですが、国中に公共事業などでバラまかれたお金は円の価値を希釈して円安を引き起こしましたが、公共事業などに頼り切った企業は稼ぐ力を伸ばせず、国際競争力を35位まで下落しました。輸出額ベースで黒字の企業も、競争力が上がったわけではなく、為替差益がほとんどです。これは悪い円安と言われていますが、1990年代以降の経済政策の結果であることは、留意しておく必要があります。
今のところ、中国の不動産不況に端を発した世界不況になりそうですが、コロナ禍で世界各国の財政が痛んでいるため、リーマンショック時の中国のような国は見当たりません。ということは、本当に不景気になったらリーマンショック以上の影響があることになります。今の日本に、これからの不景気に耐えるだけの経済力や国際競争力があるのか、疑問です。
私は長い間、トリプル安(株安・円安・債券安)になりそうだと言ってきましたが、そろそろ危なそうです。円安は既に起こっていますが、株安は、世界的に不景気になると株も安くなるでしょう。債券安は国際価格の下落(利率が上がる)なので、日銀やGPIFが債券安の影響をモロに受けるでしょう。日銀やGPIFが困るという事は、我々の預金や年金が危ないという事です。イザというときの覚悟が必要です。
世の中が大きく変わるときには、必ずチャンスが巡ってきます。そのチャンスを逃さないためにもアンテナを高く掲げ、「しめしめ」を目指しましょう!
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。