株式会社しめしめ

日記や、経済時事ネタの評価をしています。

景気停滞の根本原因

 寒波によって、大変なことになっている地域があるようです。皆さまもお気を付けください。

 

 先日、情報収集と称してネットサーフィンしていると、国債がどうして積みあがったのかについて分かりやすく解説している記事があったので、記事がなくなっても困らないよう、最後に全文を載せています。ご興味ある方は、ぜひお読みください。

 

 経済が不得意な方のために簡単に説明すると、アメリカの要望(日米構造協議)に基づき日本は1990年から10年間で630兆円の公共投資を実施しました。全国でハコモノと言われる公共設備や道路などを作りまくった結果、巨額の財政赤字を抱えることになりました。これが失われた20年の本当の理由、とのことです。

 

 ここからは私見です。

 私が大学生だった1991~1994年、全国で一斉にハコモノを作っていました。まだ学生だったのであまり気にしていませんでしたが、山間部に延々と舗装道路が整備されている状況には、大変な違和感を感じていました。便利な人はいるんでしょうが、費用対効果が最悪だと。

 その後、「年次改革要望書」により日本の構造改革が要求され、派遣法改正や郵政改革等が実施されました。過去の記事にも書きましたが、当時のアメリカの貧富の格差拡大から、私は派遣法改正は日本もいずれ格差が拡大するだろうと予想しました。

 

 私の認識を要約すると、1980年代の貿易黒字とバブルで我が世の春を謳歌していた日本は、バブル崩壊で金融機関が大きく棄損し「日米構造協議」で多額の借金だけ負わされました。「年次要望書」で構造改革を強要され貧富の格差が広がった間、補助金漬けとなった国民は新しい産業を生み出せませんでした。そしてこれから、過去の清算が始まります。どのような清算方法になるのか不安でもあり、楽しみでもあります。真っ先に警戒すべきは、トリプル安(株安・円安・債券安)です。

 

 これから皆さまも多くの報道に触れると思いますが、歴史に学ぶという意味で、基本的な部分は抑えた上で読み解く必要があります。情報の中のチャンスを、発掘していきましょう。

 

 今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

「巨額の赤字国債」の原因は社会保障費ではない...630兆円をドブに捨てた日本 | PHPオンライン衆知|PHP研究所 (赤字部分は私が重要と考える部分です)

2020年の調査で日本の平均賃金はOECD加盟35カ国の中で22位であり、19位である韓国よりも年間で38万円ほど安くなっているという。

この長い日本低迷のきっかけとなった「バブルの崩壊」は、実はベルリンの壁の崩壊が大きく関係している。その経緯を戦後の日本経済の歩みとともに紐解いていきたい。

※本稿は大村大次郎著『お金で読み解く世界のニュース』より一部抜粋・編集したものです。

※初出時に広義として「公共事業」と表記しておりましたが、定義の違いにより誤解を招く可能性があるため「公共投資」と変更させていただきました。

 

ソ連の崩壊により奇跡的にアメリカ経済が復活

80年代、軍拡競争と産業の斜陽化のため瀕死の状態となっていたアメリカ経済に、思いもよらない幸運が訪れる。

ソ連と東ヨーロッパ共産主義陣営が崩壊したのである。

1989年、ドイツのベルリンの壁が壊され、東ヨーロッパの共産主義圏が事実上崩壊し、さらに1991年にはソ連という国家までもが消滅した。

これにより、アメリカは、ソ連との軍拡競争を行う必要がなくなり、軍事費や他国への支援を大幅に削減することができた。

そしてアメリカは世界で唯一の超大国となった。

この東西冷戦の終結により、アメリカの対外政策は一変した。他国に対して、強硬な態度を取るようになったのである。特に、これまで気を使ってきた同盟諸国に対して、強い態度を取るようになった。

その顕著な例が、日本である。

アメリカは、1970年代以降、貿易赤字が常態化し、赤字額の累積に苦しんでいた。その最大の原因は日本だった。

アメリカの貿易赤字の7割を日本が占めていたこともあり、1987年には対日貿易赤字は600億ドル近く(当時の日本円で10兆円前後)に達していた。

このまま、貿易赤字が累積すれば、アメリカ経済は破綻してしまうかもしれない、そう考えたアメリカは、「最大の貿易赤字相手国である日本をどうにかしよう」ということになったのだ。

そこで、アメリカは「日米構造協議」という会議を日本に働きかけた。

日米構造協議というのは、「日本の巨額の対米貿易黒字(アメリカから見れば対日貿易赤字)を縮小するために、日本とアメリカで、お互いの是正すべき点などを指摘し合う」という目的で始められたものである。

1989年にブッシュ大統領から宇野首相へ働きかけて開始され、1992年までの間に、5回会議が行われた。

それまでも、各産業での個別の是正交渉などは行われていたが、両国の経済社会、産業全般に関して、問題点を指摘し合うというのは、これが初めてのことだった。

そして、この交渉は「両国がお互いの問題点を指摘し合う」ということになってはいるが、実際は、「アメリカが日本に対して指摘する」ということが主だった。

国同士の力関係から、そうならざるを得なかったのだ。

「相手国の経済社会の問題点を指摘し合う」などというのは、普通に考えれば「内政干渉」である。

しかし、アメリカはそれをごり押ししてきたのである。

この「日米構造協議」は昨今の日本とアメリカの経済関係を見ていくうえで、無視することはできない。現在の日本の経済自体に多大な影響を与えているのである。

アメリカは、対日貿易赤字の原因は、日本市場の閉鎖性にあると考えていた。

日本の市場は、不公正で未成熟なので、アメリカの商品が入っていけない。だから、その不公正をやめさせ、先進国として成熟した市場にさせたいということだった。

日米構造協議でアメリカが日本に求めた主な内容は、次の三つである。

・日本の貯蓄、投資バランスを改善するために、政府が大規模な投資を行うこと
・大規模店舗法など流通制度を見直すこと
・土地政策を改善すること

他にも諸々あったが、アメリカが真に強く求めたのは、この三つだといえる。

そして、この三つに関して、日本は実際に是正策を講じたのだ。

その結果、日本側の施策の失敗もあって、日本の経済社会は大きく混乱し、バランスを崩した。

 

日本の巨額赤字国債の本当の原因

日本は、このアメリカの要求を受け入れた。

1990年にその当時の日本の首相であった海部氏がアメリカに対する公約として、今後10年間で430兆円の公共投資を行うと明言したのだ。その後、村山内閣のときに、この公約は上方修正され630兆円にまで膨らんだ。

1年に63兆円を10年間、つまりは630兆円である。

この巨額の公共投資が、日本経済に甚大な厄災をもたらすことになる。
「他国に公共投資を強いる」というアメリカの姿勢にももちろん問題はある。しかし、この公共投資に関しては、日本側の対応が最悪だった。

そのため、この公共投資は日本経済に多大なダメージを与えたのだ。バブル崩壊後の長い不況、「失われた20年」の要因の一つと言ってもいいはずだ。

何が失敗だったのか?

まずは、その額の大きさである。630兆円というのは明らかに異常な額である。

日本の年間GDPをはるかに超える額であり、当時の国家予算の10年分である。当時の社会保障費の50年分以上である。それを丸々公共投資につぎ込んだのである。

いくら当時の日本政府が財政を健全化していたといっても、こんな負担に耐えられるはずがない。当然のように、あっという間に、巨額の財政赤字を抱える羽目になった。

現在の国の巨額の借金というのは、間違いなくこのときの630兆円の公共投資が原因なのである。

国は、現在の巨額の赤字国債について、「社会保障費の増大で生じた」などと弁明しているが、数理的に、どこからどうみても無理がある。当時の社会保障費は、わずか11兆円ちょっとである。公共投資費は年間60兆円以上だった。誰がみても、どちらが借金の原因かは一目瞭然だろう。

 

日本は630兆円をドブに捨てた

そして、最大の愚行は、その使い道である。

実は日本では、公共投資というのは、非常に税金の無駄遣いになりやすいものである。

当時、公共投資というのは、政治家に食い物にされていた(もちろん今でもあまり変わっていない)。有力な国会議員が、地元に公共投資を誘致することで、その政治手腕を誇示する。それにより政治資金や支持者を集めるというのが、政治家の有力な選挙戦略となっていたのだ。

当時の日本では、建設業者は政治家を強力に支持する母体になっていた(今でもその傾向はある)。建設業者は、支持者を集めるだけではなく、政治資金も提供してくれるからである。

つまり、日本で公共投資を増やせば、それは真に国民のためになることには使われず、政治家と建設業者の利権に費消されてしまう、ということである。

当時の日本では実際に、その通りのことが起きてしまった。

日本は630兆円もの巨額のお金を愚にもつかない箱モノをつくったり、無駄な道路をつくるばかりで浪費してしまったのだ。

そしてこの巨額の公共投資は、バブル崩壊後の景気浮揚にも何ら貢献しなかった。

そもそも公共投資というのは、ただそれをやれば、経済が活性化するというものではない。公共投資を誘致すれば、一時的にその地域の経済は上向く。巨額のお金が地域に落ちるからである。だから一見、景気対策になるようにも見える。

しかし公共投資は、その地域に真に経済力をつける施策ではない。公共投資というのは、一時的な痛み止め、モルヒネのようなものなのだ。
公共投資を請け負う建設業界というのは、大手→下請け→孫請け、と、ピラミッド式の構造となっている。

もちろん大手がもっとも多く取り、下に行くほど取り分は減る。末端の労働者に届くお金は、わずかなものである。

しかも公共投資の受注は、政治家にコネがある者や地域の有力者を中心に行われる。国民全体が潤うものではなく、特定の者が繰り返し潤うというものである。

だから公共投資費は、真に景気を刺激するものでもなければ、大きな雇用を生み出すものでもないのだ。

そして公共投資に依存する体質になってしまうと、常に税金に頼っていかなければならなくなる。つまり真に自立した経済力を持てないのである。