株式会社しめしめ

日記や、経済時事ネタの評価をしています。

戦後の日本の社会構造に関する私感

 今日はクリスマスです。イブを楽しんだ方、そうでない方、それぞれだったかと思います。うちの子はついにサンタを全く信じておらず、プレゼントに現金を要求する始末です。育て方を間違ったのでしょうか?

 

 今回は、前回の記事で「戦後の日本は先進国に追いつけ追い越せで、ダムや道路、トンネルなどのコンクリートを使う政策を続けてきた」と書きましたが、それに関する私感を書きます。根拠が明確な論考ではありませんので、ご注意ください。

 

 戦後の日本は、焼土から始まったことはご存知かと思いますが、1950年からの朝鮮戦争の特需や高度成長期、ベトナム戦争の特需などを経て、内需拡大政策によるバブルに突き進みました。バブル崩壊後の失われた30年から、今年は大きく内容が変化しました。デフレからインフレへの転換です。

※将来の予想は、今回はしません。円高による産業の空洞化も、割愛します。

 

 戦後の経済政策で、日本は一貫して工業化と家族の細分化をし続けていると、私は考えています。前職の先輩のお父さんは太平洋戦争で徴兵され無事帰還後、事業を起こし一代で財を築いた方と聞いていますが、「国のすべきことは、国民を住まわせ、飢えさせないこと」とおっしゃっていたそうです。経済的な意味では同感で、私はあと外交と国防が、国の事業と思います。

 現在の日本では、飢えることはあまりありません。セーフティネットから漏れる方がいることは事実ですが、諸外国と比較して少ない状況です。国民を住まわせる部分はどうでしょうか?

 

 焼土からの復興には外貨が必要であり、工業化は避けて通れませんでした。そのための労働力が必要だったので、千葉から福岡までの太平洋工業ベルト地帯に、田舎からの出稼ぎ労働者や若年労働者(金の卵)を集めたのですが、この過程で伝統的な大家族が弱体化しました。

 

 一般的な大家族は、3世代、4世代が同居し、協力し合い、補い合いながら暮らしてきました。そのような大家族から、労働力を都市部に引き寄せたのです。都市に移動した労働者は、住む所が必要です。大型団地やニュータウンが多数建築され、核家族が量産されました。そこでは地縁・血縁は希薄であり、田舎では祖父母等が補っていた子育てなどを担う家族はいません。結果、保育園や幼稚園、その他各種サービスが「有料で」提供されることになります。また核家族はバス・トイレ、キッチンなどの需要を拡大させます。建築関連の内需も、工業化に寄与しています。

 

 ここで冷静に、現状を観察してみましょう。空き家問題とは?その現状と今後の見通しを徹底解説では、空き家は全国で800万戸、6件に1戸は空き家になっています。住む所は十分なはずです。むしろ問題にすらなっています。国費を投入した【フラット35】:住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、必要でしょうか?

 前回、社会インフラの維持が困難と書きましたが、家が建つためには電気、ガス、水道、道路が必要です。労働力と住宅政策の関係が、私にはに思えてなりません。

 このブログは何度も確認しますが、「しめしめ」するための情報を提供するものです。では、上述の内容から、何が予測されるでしょうか?

 

 私の予測は、不動産価格の二極化です。地域を支える工場などの生産手段がなくなれば、住宅は不要になります。住む人も減り、価格を維持することは困難です。都市部は工場などがなくてもサービスが集積しているので、人口が減ることはあまりありません。価格を維持しやすいのです。

※不動産価格の二極化一般的に言われていることですが、根拠があって予測することは、予測が外れた時に修正を考えることが出来ます。

 

 ここで忘れがちなのは、外国人労働者の問題です。少子高齢化などにより労働力が不足し、その解決策の一つとして外国人労働者を受け入れましたが、問題化しています。バブルの頃は日系人を南米などから誘致し、近年では技能実習生という呼称でアジア各国を中心に受け入れていました。国際法上は移民ですが、日本は実態を隠して労働力のみを目的とする制度を設計した結果、コロナ禍の不況などから困窮する事例が増えているそうです。コミュニティー崩壊し路上で寝泊まり、命を落とす人も…「外国人ホームレス」急増の悲しい背景(FRIDAY)で、「新型コロナが引き起こした不況が社会でもっとも弱い立場の人たちに向かったことで、(外国人)コミュニティーの相互扶助が機能しなくなったのだ。その結果、在日外国人の中でも一番苦しい立場にある人たちが次々と住居を失うという事態が起きた」とあります。外国人労働者に厳しい日本社会において、経済的に苦しい外国人がコロナ禍で余裕を失い、相互扶助が機能しなくなったため外国人ホームレスが増えたとの内容です。

 

 日本にはある意味贅沢な空き家問題と同時に、社会的弱者を追い詰める厳しい現実が混在しています。なのに工業化や新築優遇政策は、従前の通りです。日本への移民政策を「技能実習生」という言葉で誤魔化し劣悪な環境で搾取する構造が、新たな労働力を呼び込めなくなることは自明であり、円安で選ばれなくなったのは当然の結果でしょう。どんなに家が余っていても、外国人労働者が住むことは難しい状況です。

 人口は国力です。人口規模に応じて、国内総生産も決まります。日本人が減り、外国人も逃げていく国になってしまっては、「しめしめ」どころではありません。更なる長期低迷を、覚悟せざるを得ません。残った外国人労働者が排斥されるあまり、治安を悪化させる可能性もあります。窮鼠猫を嚙む、です。

 

 しかし、経済的に伸びる分野があることも確かです。前述の”平均的な”日本の状況と、どこかに隠れている新たな伸びしろを、同時に追求する必要があります。でもそれは大変なので、私は都市部への投資を強化しています。最初に書いた「労働者を支えるサービス」が集積している地域です。ただし、リスクが減る分、利益率は低くなります。

 

 2023年は、激動の時代になりそうな予感です。ピンチはチャンスです。自分の得意分野を見出し、乗り切っていきましょう!

 

 今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。